【府中市】狭隘道路拡幅整備事業

府中市議会議員の渡辺しょうです。

先日、ブロック塀の安全対策助成についてご紹介したところ、「うちの前の道路自体が狭くて不安」、「セットバックってよく聞くけど、実際どうなるの?」といったお声をいただきました。そこで今回は、それと深く関わりのある府中市の「狭あい道路拡幅整備事業(きょうあいどうろかくふくせいびじぎょう)」について、じっくりとご説明したいと思います。少し専門的な言葉も出てきますが、できるだけかみくだいてお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。

そもそも「狭あい道路」とは?

「狭あい」とは、「狭い」という意味の言葉です。狭あい道路とは、おおむね幅員(道幅)が4メートル未満の狭い道路のことを指します。

私たちの生活道路は、単に人や車が通るためだけのものではありません。日当たりや風通しを確保して住みやすい環境を守り、さらに火災や地震などの災害が起きたときには、避難したり、消防車・救急車が入ってきたりするための大切な「命の通り道」でもあります。

ところが、府中市内にはこの幅4メートル未満の狭い道路がまだ数多く残っています。道が狭いと、いざというときに緊急車両が入れなかったり、避難に支障が出たりするおそれがあります。これは、良好な住環境を守るうえで大きな課題です。

そこで府中市では、安全で快適に住めるまちづくりをめざし、こうした狭い道路を少しずつ広げていく「狭あい道路拡幅整備事業」を進めています。

建築基準法の「4メートル」と「セットバック」の話

少しだけ法律の話をさせてください。建築基準法では、原則として「建物を建てる敷地は、幅4メートル以上の道路に接していなければならない」と定められています。

しかし、法律ができる前から使われてきた幅4メートル未満の道もたくさんあります。そうした道のうち一定のものは、建築基準法第42条第2項に定める道路(通称「2項道路」「みなし道路」)として扱われ、この道に接する土地で建物を建て替える際には、道路の中心線から2メートル下がった線まで敷地を後退させる必要があります。これがいわゆる「セットバック(後退)」です。

この事業は、まさにこのセットバックのタイミングをとらえて、後退した部分(後退用地)をきちんと道路として整備し、まち全体の道を少しずつ4メートル以上に広げていこうという仕組みなのです。

この事業の基本的な流れ

事業の中心となる考え方はシンプルです。

土地所有者の皆さんのご理解とご協力を得て、道路の中心線から2メートル以上後退した線までの「後退用地」を市に寄附していただきます。その代わりに、面倒で費用のかかる測量・分筆(土地を分けること)・登記は、すべて府中市が行います。

さらに、その後退用地に古いブロック塀や門、樹木などがある場合は、それらを撤去したり移したりする工事費用の一部を助成金として交付し、最後に市がL型側溝(雨水を流す側溝)や舗装などの道路整備を行います。

つまり、「土地を提供していただくかわりに、面倒な手続きと工事は市がしっかり引き受けます」というのが、この事業の基本的な姿です。

2022年4月から、条例に基づく事業へ

府中市では、2022年4月1日から「狭あい道路の拡幅に関する条例」に基づいて、この事業を新たなかたちで開始しました。条例化にあわせて、これまでの事業に次の3つの仕組みが加わっています。

ひとつ目は「事前協議制度」。ふたつ目は「後退用地への支障物件の設置禁止」。そして三つ目が「後退用地を市へ寄附いただいた場合の奨励金の交付」です。あわせて、寄附いただいた場合の塀・門・樹木に対する助成金の金額もきちんと定められました。順番にご説明します。

① 事前協議制度 —— 建築確認申請の「30日前まで」に

府中市内で、建築基準法第42条第2項道路に接する敷地に建物を建てる(建築確認申請をする)場合には、確認申請を提出する30日前までに、「狭あい道路拡幅整備事前協議申請書」を府中市に提出し、あらかじめ協議を行っていただく必要があります。

協議では、後退用地の範囲、権原(土地の権利関係)、整備の方法、その後の維持管理などについて確認します。協議が整うと、府中市から「狭あい道路拡幅整備協議済通知書」が交付されますので、その写しを確認申請の書類に添付していただきます。

【主な提出書類】事前協議申請書、案内図、公図の写し、登記事項証明書、配置図(代理人が申請する場合は委任状も)

ここで大切なのは「30日前まで」という点です。建て替えを予定されている方は、スケジュールに余裕をもって、早めに府中市へご相談ください。

② 後退用地への「支障物件」の設置禁止

安全で快適な、災害に強いまちを実現するため、後退用地には、災害時の避難や通行のさまたげとなる「支障物件」を設置することが禁止されました。

支障物件の代表例としては、自動販売機、花壇、プランターなどが挙げられます。「少しくらい」と思って置いたものが、いざというときの避難や消火活動の妨げになってしまうことがあるのです。

条例では、支障物件を設置した方に対して、是正のために必要な範囲で勧告を行い、正当な理由なくその勧告に従わない場合には、勧告の内容や氏名などを公表することがあるとされています。せっかく広げた道を、みんなの安全のためにきれいに保つ、という趣旨のルールです。

 ③ 奨励金の交付 —— 土地の寄附へのお礼として

後退用地などを府中市に寄附していただいた場合、寄附面積に応じて「奨励金」が交付されます。金額は次のとおり定められています。

・後退用地に係る奨励金:1平方メートルあたり、固定資産税の路線価の10分の1に相当する額

・隅切り用地に係る奨励金:1平方メートルあたり、固定資産税の路線価の2分の1に相当する額

「隅切り」とは、道路の角にあたる敷地の角を斜めに切り取って、見通しや車の通行をよくする部分のことです。角地の安全性向上に特に貢献するため、後退用地よりも手厚い設定になっています。

 ④ 助成金の額 —— 塀・門・樹木の撤去・移設に

後退用地に古いブロック塀や門、樹木などがあると、そのままでは道路として整備できません。そこで、これらを撤去したり移設したりする工事について、次のとおり助成金が定められています。

・塀等の除却費:1メートルあたり 6,000円

・塀等の移設費:1メートルあたり 14,000円

・門の除却費:1箇所あたり 10,000円

・門の移設費:1箇所あたり 20,000円

・樹木の移設費:高木(目通り30cm以上)1本あたり 50,000円/中木(目通り15cm以上30cm未満)1本あたり 10,000円/低木(目通り10cm以上15cm未満)1本あたり 6,000円

「目通り(めどおり)」とは、大人の目の高さあたりで測った幹の太さのことです。

 府中市が行ってくれる「4つのサポート」

ここまでの内容を、土地所有者の皆さんの視点から「府中市がしてくれること」として整理すると、次の4点になります。

1つ目は、測量・分筆・登記を市が行うこと。道路境界確定図に基づいて現地で立ち会い、後退用地や隅切り用地を明確にします(あわせて、民地と民地の境界の確認をお願いしています)。

2つ目は、後退用地に塀・門・樹木などがある場合、その工事費用の一部を助成金として交付すること。専門の調査士が状況を調査し、助成金額を算出してお知らせしたうえで、工事完了後に交付します。

3つ目は、寄附面積に応じて奨励金を交付すること。

4つ目は、道路整備を市が行うこと。後退用地と隅切り用地にL型側溝を敷設し、舗装工事などを行います。整備の時期は、可能な限り土地所有者の方のご都合に合わせて進めますが、ご希望に添えない場合もある点はご了承ください。

ブロック塀の助成制度ともあわせて

先日ご紹介した「ブロック塀等安全対策費用助成事業」と、この「狭あい道路拡幅整備事業」は、あわせて活用できる場合があります。「道路沿いの古いブロック塀が心配」「建て替えのタイミングで道路も広げたい」といった場合は、両方の制度を視野に入れてご相談いただくと効果的です。

ブロック塀の助成についてはこちらもご覧ください。

https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/machi/kenchiku/burokkubeitouanzentaisaku.html

府中市の公式ページはこちらです。

https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/machi/kyouaidourokakufukuseibijigyou.html

より詳しく制度の根拠を確認したい方向けに、条例の全文もご紹介します。

・府中市狭あい道路の拡幅に関する条例

https://www1.g-reiki.net/city.fuchu.tokyo/reiki_honbun/g130RG00000893.html

・同施行規則

https://www1.g-reiki.net/city.fuchu.tokyo/reiki_honbun/g130RG00000905.html

お問い合わせ

この事業は、府中市都市整備部建築指導課が担当しています。各種の申請様式(事前協議申請書など)は、府中市の公式ページからダウンロードできます。

・担当:府中市 都市整備部 建築指導課

・電話:042-335-4327

・公式ページ:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/machi/kyouaidourokakufukuseibijigyou.html

おわりに

狭あい道路の拡幅は、一軒一軒の建て替えのタイミングで、少しずつ、時間をかけて進んでいく地道な取り組みです。すぐにまち全体が変わるわけではありません。けれども、こうした一歩の積み重ねが、火事や地震のときに救急車・消防車が入れる道をつくり、大切なご家族や近隣の方の命を守ることにつながっていきます。

私は府中市議会建設環境委員会の委員長として、市民の皆さんが安全に、安心して暮らせる災害に強いまちづくりに、これからも力を尽くしてまいります。建て替えのご予定がある方、ご自宅前の道の狭さが気になる方は、ぜひ一度、府中市の建築指導課へご相談ください。

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